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第六回目のテーマは「生きていくための術」
教育ジャーナリストの青木 悦さんとの対話。
   
・・続き3
青 木: そうです。いろんな形がありますよ。私の従兄弟の子だってイギリス人と結婚していますしね。外国に行っちゃって暮らしているのもいるし。みんなそういう意味じゃ、日本人同士で家族の中でどうこうなんていうのは、むしろ希少価値みたいなのかって思うぐらいどんどん変化しているのに、意識がついていかないんですよね。
箱 崎 : ついていかないんですね。私は里親と里子の支援を目的としたNPOの「里親子支援のアン基金プロジェクト」のメンバーで、このサイトもそのNPO事業の一つである子ども虐待防止活動として行っています。里子の多くは、実親の養育放棄や虐待が原因で、里親家庭に暮らすようになっているからです。里親さんの中には、実子に恵まれなかった方もいます。実子もいながら里子を育てている里親もいます。血のつながりを超えた家族なんです。
青 木: 日本って、そういうことが本当に広がらないよね。
箱 崎: 広がらないですね、なかなか。知られていないために、ちょっと差別的なこともありますし。
青 木: (青木さんは飾っている子ども2人の写真を示して)私の知り合いが、児童養護施設から子どもさんを一人預かって育て始めたんです。そしたらとってもかわいいんで、もう1人育てたいと2人目の子どもも預かっています。だからこの写真に写っている2人は全然血のつながりはないんですよ。
その人がね、この子どもさんとのことでトラブると手紙を書いてくるんですよ。「血のつながりがないからこういうことに悩むのか、それとも、それとは関係なく誰にでもあることなのか、青木さん教えてください」って。私は「それとは関係ありませんよ」って一生懸命返事を書いて、そしたら今度は、「差別されてとやかく言われた」って。「もうそんな相手ぶっ飛ばせ」なんて手紙で言ったり。

その後もまた手紙を書いて、ずっとやりとりしているんですよ。この写真を何回目かで送ってきたんで飾ってあるんですけれど、そうしたら息子がうちに来た時、「だれ、これ?」って聞いたんです。「うちの孫よ」って言ってやればよかったなと思って。ドキッとするだろうから(笑)。本当にいつもこの写真を見てね、私は逆にちょっと希望みたいなものを感じるんですよ。でも地方都市でそんな風に子どもを育てるのは大変でしょうね。
箱 崎: ええ、大変みたいです。里親にご本人がなりたいっていって思って夫に相談して、「じゃ、やろう」ってなっても、親戚中が大反対することも多いそうですから。
青 木: そうなんだよねえ。この写真の子たちはすごく元気そうでね。それで、「二人がすごいケンカをするんだけど、これが血のつながりのある兄弟のケンカなのか、ないけんかなのか」って。「そんなことは考える必要ない」って、私も一生懸命に手紙の返事を書いてね(笑)。
箱 崎: 子どもたちはどこの家でも起きる何かの奪い合いみたいなケンカをしているんでし
ょうからね。

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