12月14〜15日、「日本子ども虐待防止学会 第13回学術集会みえ大会」が、三重県津市の三重県総合文化センターなど3ヶ所で行われた。「子ども家庭福祉施策の充実」と「社会的養護体制の整備」を求めて、医療、司法、教育、行政関係者など全国から約1800人が参加した。
14日の午前、同センターの大ホールで、「21世紀を『子どもの世紀』とすべく叡知を結集する」とのみえ大会宣言が採択された。

 同日の午後に、ノンフィクション作家の柳田邦夫氏が「心を育てる読み聞かせ〜絵本の力 再発見〜」と題した特別講演をした。柳田氏は、「絵本は感性を取り戻すためのメディアです。大人こそ絵本を読もう」と話した。
 柳田氏は、次の5つの点から、絵本の読み聞かせは、子どもを育てるときに大変重要だと語った。
「絵本は、1.言語力が育まれるし、2.感性が豊かになるし、3.感情を表現する力も育つ。それから、4.文脈を読み取る力が育つ。この文脈を読み取る力というのは、友だち関係の中でとても重要です。言葉の文脈が読み取れず、たったひとことにこだわってそこから逃れられない。長崎県の佐世保市で起きた小学6年生が同級生を殺害した事件では、加害児の少女は、おんぶをして遊んでいたときに、「重たい」と言われたことが「太って醜い」と歪んで捉えてしまい恨みの気持ちが募ったのです。

 この少女は、母親にかまってもらえず、テレビで育って、1歳から感情の抑圧が身に着いてしまいました。それから、母親による読み聞かせは、4子どもとの愛着関係が育つことを補う。また絵本は、5.時間をコントロールできるメディアです。子どもは納得して次に進むことができるため、子どもが自分で時間をコントロールすることができます」
 その後、絵本をスクリーンに映し出して、ストーリーを紹介しながら、絵本の効果について伝えた。
指定講演では、厚生労働省、文部科学省、最高裁判所の担当者が、児童虐待防止に対する対応策の現状と課題について話した。

特別講演する、柳田邦男氏。
絵本をスクリーンで紹介して、
絵本の読み聞かせの大切さを語る柳田氏。
 国際シンポジウムは、「アジアの子育て、虐待対応から学ぶこと」をテーマに、タイ、中国、フィリピン、香港から子ども虐待防止に関る代表者が自国の取り組みについて伝えた。
中国の代表者Dr.Fuyong Jiao氏は「中国は一人っ子政策をしていて、親は子どもの世話を一生懸命します。それなのになぜ虐待があるのか?とよく聞かれます。子どもが1人であるために、親の気持ちや教育が1人に集中してプレッシャーを与えるのです。子どもは自分のもの、という考えが親にあります」と話した。

 国際シンポジウムの各国の代表者の意見から、日本に限らずアジアのどの国も、軽い体罰は適切なしつけとされた文化的な背景があることがわかった。子ども虐待は、そうした文化的背景からいかにして脱皮するかが、各国共通の重大な課題である。

 15日は、3ヶ所に分かれて、午前9時から午後5時まで分科会が行われた。母子支援をテーマにした分科会を中心に参加した。そこでわかったのは、子ども虐待問題の専門家たちが、以前は距離があったDV問題により近づき、子どもの時に虐待を受けた体験のある母親への支援に本腰を入れた取り組みが行われていることだった。今後この取り組みは、子ども虐待防止の中心的課題となっていくだろう。

国際シンポジウムの模様。
分科会「DV被害後の母子関係再構築への支援」
の模様。
21-Dec-2007  
レポート/オレンジリボンネット管理人  
箱崎幸恵  

   
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