|気づきの対話 top
第五回目のテーマは「社会的養護と当事者活動」
児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡井さゆりさんとの対話です。
   
・・続き12
箱 崎 : 施設で友達とかはできましたか?
渡 井: 施設に同い年の男の子がいて、その子とは仲よかったですね。ピアス開けてもらったりとかして。しかも、その子がもてる子だったので、中学の同級生に「一緒に暮らしてていいな、」って言われることがありました。でもそれぐらいで。退所してから自分が人との関わりで、本当はあんまり自分から人と関わりたくなかったってことに気づいたんです。自分が求めているものに人が応えてくれるとは思えなかったんで、自分が存在意義のある人間にならなくてはならないみたいな感じで頑張っていたんです。だから文化祭の委員長もしたんだと思うんです。自分の役割というのを、誰もやらないようなことを自分から進んでやるみたいな。
箱 崎 : それは人に認めてもらいたいという気持ちですか?
渡 井: そうですね。あんまり自分のことを褒めてくれる人っていないじゃないですか。でも、褒められると嬉しいかといったら、あんまり嬉しいとは思ってもいなかったんです。認めてもらいたい気持ちってたぶん誰でもあると思うんで、それはあったとは思うんですけど。何か、処世術というか、自分の生き方としてたぶんそういう選択をしてたのかなあって思います。だから、同世代の子は別にそんなこと気にせずに、人に受けとめてもらえて当たり前だし、逆に受けとめられないと怒ったりしているのを見て高校の時から違和感は感じていました。施設で育って、本当に1人で暮らし始めると、ますますその違和感を感じるようになって、同世代の人と距離を置くようになりました。当然孤立していっちゃうじゃないですか。そうしたら、1人でそういうことを考え込んで、マイナス、マイナスにいっちゃっていましたね。

(了)→後半へ続く
  | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | MENU  
   
 
COPYRIGHT(C)2006 ORANGE RIBBON-NET & THE ANNE FUNDS PROJECT ALL RIGHTS RESERVED.