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2)自己への気づき
  表現アートセラピーの中で自己のイメージを深く深く探っていき、そのイメージを絵や音、文字や動きを使って表現し、それを見たり感じたりすることによって自分に対する様々な面に気づいていきます。また、自分の頭の中でぐるぐると巡っていた考えや思いなどを一旦表現を通して具現化し、改めて見つめなおし感じなおしてみると解決策が見つけやすかったり、また、内面で思っていたよりも容易にその感情を受け止められたりもします。こうしたことを考えると表現アートセラピーは自己洞察の大きな支えになるというわけです。

  欧米では表現アートセラピーを教育する研究所、大学や大学院のプログラムが数多く存在しています。また、西欧諸国ばかりではなく、南米やアジアでも専門課程を持つ大学や大学院が増えています。欧米では大学院で表現アートセラピーと心理学や臨床の専門教育と実践的な訓練を受け、卒業後、表現アートセラピストとして活動をすることが表現アートセラピストになる一般的な方法となっています。

  残念ながら日本では大学院での研究機関や教育機関はまだ存在していませんが、表現アートセラピー研究所などでパーソンセンタード表現アートセラピーのトレーニングコースなどが設けられ、専門的な教育を受けることも可能になってきています。

3)カタルシス
  カタルシスとは心が浄化されていくこと意味し蓄積された感情を開放することにより心の中をすっきりとさせる事です。心理学で取り上げられる以前から様々な文化ではこのような儀式的なものがおこなわれてきました。各文化に伝わる芸能やお祭りなどカタルシスを目的にしたものが多く見うけられます。表現アートセラピーはこのカタルシス効果を継承セラピーの一つといえます。カタルシスは単に嫌な感情を取り除くということではなく、感情に伴った経験を浄化という形で、私たちに受け止めることを促すのです。

  表現アートセラピーでは様々な芸術様式を組み合わせ、あたかも儀式にみたてて、セラピストが見守る安全な所で鬱積した感情や体を開放していくのです。そしてカタルシスの過程で生み出されたイメージはそれぞれの理解しやすい物語や解釈となってその人の人生の中に受け止められていくのです。 私は自らの経験から芸術は人の心を癒す何かがあると気づき、その理由を探っていった結果、表現アートセラピーというものに出会いました。アートを創り表現すること通して自己のイメージ世界を知り自己洞察を深め、ネガティブな面もポジティブな面も含め自分を受け入れるように成長してこられたように思います。また、自己の創造性を伸ばすことで生きるエネルギーを活性化させることを学びました。

  どんなに深い心の傷を負っていても自らの潜在的な回復力、創造性を信じ伸ばしていけば癒されていくのです。そしてアーツ(芸術)と表現は我々の癒しの過程を促し支えいく不思議な力をもっているのです。私は少しでも多くの方にこんなセラピーの方法もあることを知って頂きたいと願っています。
(第二回 了)
  
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