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・・・続き4

親からの抱擁

  抱くことの大切さは何回繰り返しても言い尽くせません。抱かれてばかりいたら「甘やかす」という考えが、「抱き癖」という言葉を作り出したのでしょう。ところがです。最初から抱かれて育った赤ちゃんには「抱き癖」など付かず、かえってある時期が来ると「もういいよ」というように親から離れ、周囲を探検し始めます。親が必ず自分を見守っていると確信しているからです。特に這い這いや歩き始めるといろいろなことに興味をもち、自分で探検する領域を広めていきます。でも怖くなると親元に逃げ帰り、抱きしめてもらって「安心」をもらい、また探検に乗り出します。

  この行き来を繰り返して、成長とともにもっと遠くに行かれるようになり、青年期に親元からの「巣立ち」ができるようになるのです。巣立っても親との抱擁の関係がなくなったのではありません。人から優しくハグされると、脳内に私たちを心地よくしてくれるセロトニンという化学物質が沢山分泌され、高血圧のお年寄りの血圧が下がり、低血圧の方の血圧は上がる(正常にする)ということがアメリカで実証されています。子どもがいくつになってもハグしてあげましょう。

  小さい子は大人のわきの下に両手をいれ親の腰をしっかり抱き、大人は上から子どもの肩をくるむようにして、背中をしっかり抱いてください。これが、大人が「コントロール」しているハグの仕方です。子どもが成長し、ときには親より背が高くなったときは、片手を肩に、もう一つの手を相手のわきの下に入れる「同等」のハグをします。子どもはいくつになっても親と「ハグする関係」でいたいと望みます。ぜひこの関係を小さいときから続けてください。愛着の絆は子どもが巣立っても続いていくのです。

ロッキング(リズムの大切さ)
  アメリカの西海岸にあるタコマ市のメリー・ブリッジ病院は、難産を主に取り上げる病棟があり、若年・老年出産、流産を繰り返している妊婦、慢性の病気を持っている人などが遠くからここへお産をしに来ます。

  未熟児はすぐに隣の特別集中介護室にいれられ、家に帰れるようになるまでケアされます。両親は家に帰ることが多いので、ここには「ロッキング・ボランテイア」といわれる人たちが毎日やってきて、ひとりの未熟児を胸に貼り付けるように抱いて、薄い毛布を掛け、一日中ロッキング・チェアに乗って静かに揺すっています。このリズムが脳幹の成長にとてもよいとのことです。

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