第一回目のテーマは「アルコール依存症」 医師でアルコール依存症者の竹内達夫さんとの対話です。
   
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続き5・・

箱 崎 : 本人がレッテルを貼られるんじゃないかと恐れているのではないでしょうか。日本人特有の問題かも知れませんが、自分の問題を隠して生きていくというか。
竹 内 : そうです。だから日本では、大問題でありながら見えないですよ。何も会社の3分朝礼の時に、私はアルコール依存症で、と話す必要はないですが、開示してもいい時がある。でもそういう時にもしない。
箱 崎 : アメリカのように、回復していく人がオープンに話すと、自分だけで抱えこまなくていいんだ、語っていいんだと思いますよね。
竹 内 : 日本の社会の中にはないですね。それが自助グループが伸びない理由の1つ。私はアルコール問題を持っていると、どこに行ってもいいます。私が各地の保健所を行ったり来たりして言っているので、みんな私がアルコール依存症者だと知ってますよ。だけどそのために、不利益をこうむったことは一度もありません。だから多くの方に、この問題のことを語っていってほしいと思います。
箱 崎 : 語っていく人がいないと、この問題がなかったかのように、過ぎていきますよね。回復者が自助グループ以外のところで、語っていくことは大切ですね。
竹 内 : 私は今、東京都の精神医療審査会の委員をしています。精神障害の患者さんの中には、任意入院ではなく、措置入院か、医療保護入院かの法的な拘束で入院する場合があります。そうしたときに、入院した人は、退院請求ができます。病院によってはなかなか退院させない病院がないわけではない。いい病院ほど、退院請求が多い。退院請求が出たら、東京都は全部受ける。そして、精神医療審査会にかけるんです。実際に審査会にかけるために、実地審査をします。委員2人が患者さんのいい分を聞くために病院に行きます。私がそういう医療審査会の委員をしているのは、アルコール問題があるからです。保健所の所長をしているときも、退職した後も、その種の委員をたくさんしています。東京都はアルコール問題の委員会をいろいろ立ち上げてきましたが、私はほそのほぼすべてにかかわっています。
箱 崎 : 今、問題になっている飲酒運転もかなりアルコール依存症の人がいるかと思いますが。
竹 内 : そうですね。全部とはいいませんが、かなりアルコホリックがいるのではないでしょうか。
先日、私がかかわっているアルコホーリックの方が、飲酒運転で、重大な人身事故を起こしました。
   

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