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第六回目のテーマは「生きていくための術」
教育ジャーナリストの青木 悦さんとの対話。
   
・・続き2
箱 崎 : 一見、何ともないように見える家族の中にいろいろ大きな問題が潜んでいるっていう相談を受けて、青木さんは、お互いが生きていくのに楽な親子関係って、どういう関係だと思いますか?
青 木: そうですねえ、血のつながりばっかり重視している家族っていうのは、もうそろそろやめたいなっていう気がするんですよ。できるだけ生きやすい形で一緒に生きていける、そういう人が集まったのが最小限の家族という新たな形がいいかなと。その人に子どもがいれば一緒に、自分にも前の人との間であれ子どもがいれば一緒にっていう。形式に縛られない、共に生きる人の最小集団っていうふうにとらえたらいいのにと思います。でもやっぱりすごい引きずっているでしょう。今、日本の社会っていうのは家族の根っこっていうのを。
箱 崎 : いや、もうすごいですよね。もう、議員からして三世代、四世代がいたりで。
青 木: そうなんですよ。
箱 崎: 日本の文化として、絶対自分の血筋を絶やしたくないみたいな意識がとても強くて。
青 木: まあ、天皇家に代表されるようにね。その家の血筋を絶やさないみたいな家族観っていうのは、もう個人の現実に合わなくなっているから、その中の苦しさでしょうね、きっとね。
箱 崎: そうですね。青木さんは息子さんが小さいときからお友達と一緒に暮らしているのですか?
青 木: そう、ずっともう一緒。だから、うちの息子も自立のときに、私の悪口を彼女に言えたわけですよ。
箱 崎: ああ、それはよかったですね。
青 木: はい、すごく大きかったんです。
箱 崎: 大きいですね。なかなか言える場所がないから。
青 木: そうなんですよ。親の不満を言うには、親を分かってる人じゃないと言えないですしね。
箱 崎: そうですよね。
青 木: 息子に子どもが生まれて、息子はその子の写真を私の友人と夫と私の携帯にメールで送ってくるんです。私と夫に送るっていうのは分かるんだけど、私の友人にも入れるっていうところが、息子らしいなっていう感じがしてね。
箱 崎: そうですね、もう家族ですね。
青 木: そうなんです。私は自分の血のつながりのある家族にうんと苦しみました。だから、血のつながりっていうものにほとんど重きを置かないんですよ。「ほとんど」と言ってしまうのは、きっとあの両親がいなければ私がいなかったから、その程度のほとんどであって、あとはもう、社会で生きていくときの仲間の最小単位としては、血のつながりは二の次、三の次でいいんじゃないかって思っているんですよね。でも、すごくそれを意識する人が多くて。「離婚していて、今度再婚しようと思うけど、その子どもにどんな影響があるか」とか。
箱 崎: はい、多いですよね。
青 木: もう、ちょうど昨日行った町でもね、おばあちゃんが講演会に来られていて、息子さんが離婚して、孫を育てていて、そのことでの相談でした。私はそのおばあちゃんに「何の問題もないですよ」と声をかけました。本当に若々しいおばあちゃんで、今は祖父母って若いんですよね。
箱 崎: 若いですよねえ。
青 木: その方に「いっぱいいますよ、あなたのような人」って言ったら、「そうですか」って。その地方だと少ないから特別なことみたいに思っちゃっているんでしょうね。だから、私は「そういう人、いっぱいいますよ」って伝えて歩くのも結構大事な仕事だと思っているんですよね。
箱 崎: 大事ですね。自分だけだと思っている人が多いから。お父さん、お母さんがいて、きょうだいが1人2人いてっていう家族ばっかりじゃない、いろんな形の家族があるっていうことをもっと知ってほしいですね。

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