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・・・続き4

〈減少する里親〉
 アメリカの里親はこの過去20年間、減少の一途をたどった。ワシントン州の里親の数も90年代後半に30パーセント減少。地元の新聞が「2歳児がオフィスビルの中で眠り、ティーンの里子たちが住む場所が無いためにホームレス施設や少年院に緊急滞在している」とその当時、報道している。

 里親が里親業を廃業するにはいくつもの理由があるが、第一に、金銭面も含めた政府側からのサポートの希薄さがある。ソーシャルワーカーは手に余るケースワークを抱えて、しばしば里親の疑問や要望にこたえられない。そして、何よりも大きな原因は、里子そのものにある。米国の里子は30年前とは様相を異にしている。現在の里子は、親の麻薬常用などの影響をうけ、身体の健康、精神衛生、学習機能、そして社会的な適応など、すべての面で多大な障壁を持って里親の家庭へと入ってくるようになった。

 里親は訓練を受けはするが、そういった困難に満ちた子どもを育てるだけの経験と許容力を培うまでには、多くの場合、いたらない。かわいい幼児を里子として受け入れ、いずれは養子にするつもりで里親になった、心優しき里親たちは、政府からの後を絶たないリクエスト・・・逮捕歴のあるティーンや、精神衛生上の問題を抱えた性虐待の犠牲となった姉妹や、知的障害をかかえた11才児をかしらに3人の兄弟を受け入れてほしいなど・・・に閉口して、里親を廃業してしまう。  



   
 
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