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現在の挑戦
 今私は、大学の講義で学生にソーシャルワーカーの経験について話す機会があると、積極的に自分自身の経験と感情を分かち合う「エモーショナル・リテラシー」と「デモンストレート」を心がけている。
 これまでソーシャルワーカーとして話す機会はこれまでたくさんあったが、自分自身の経験と感情を話すことはなかった。初めて自分自身の経験と感情を話したとき、学生の反応が怖かった。
「全く反応がなかったら…。それとも、こんな話をして傷つけてしまう人がいたら…。それで自分も傷ついたらどうしよう。」
 迷いながらも、話そうと挑戦する自分を応援した。話してみると、以前のような押し寄せる感情の波もなく、心地よく話すことができた。学生たちは真剣な表情で話を聞いてくれた。

 その場では、AMITYで起こったような、聞いている学生の自己開示の感情表出はなかったが、学生から心からの「ありがとうございました」の言葉で満足だった。
しかし、その講義の後ある学生から届いたメールによって気づかされた。私が学生だった時そうだったように、表現できない苦しみを抱えている人がいる。その場で反応はなくても、心の中で何かを受け取ってくれている人がいるのだ。
 
 私は、自分自身の弱さを受け入れ、それを語り、少しずつ成長している姿勢を示すことで人を導いていきたい。そうすることで、自分がこれまでに受けてきたものを返していきたい。これが今の私の援助者としてのあり方だと考えている。

 次回は、エモーショナル・リテラシーとデモンストレートを通した援助のあり方について、AMITYのスチューデントたちの語りから触れてみたい。

(注1)ソーシャル・アトム・・・日々の生活の中で感情的にかかわりのある人間関係のことをさす。ある人生の特定の年齢に焦点をあて、5人の人を思い浮かべ、感情的なかかわりやコミュニケーションの度合いを図に表現する。さらに実際に参加者がそのソーシャル・アトムをロールプレイすることを通して理解を深める。

(第二回了)
 
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