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・・続き3

 こうして、スタッフだけでなくアプレンティスやスチューデント同士でたくさんの信頼関係が築かれることで、一人でも多くのスチューデントが取りこぼされることなく、回復の機会をつかんでいくのが、ここAmityの特徴だ。

 実は、このときエマは最愛の祖父を亡くし、お葬式を終えてAmityに帰ってきたばかりだった。エマ自身も深い悲しみを抱えていながら、エマはスチューデントをケアすることを続けていた。

 アプレンティスは、自身もスチューデントとして自分自身の課題や問題に取り組みながらも、ロールモデルとしてスチューデントをケアする中間的存在だ。その中で多くの困難を抱えながらも、その困難がもたらす自身への回復を理解し日々取り組んでいる。そんな彼らを突き動かしているのが、「自分が与えられたように、与えたい」という気持ちだ。このケアの循環がAmityの力の源泉になっているように感じる。

 ツーソンのAmityは、様々な形で展開されるAmityの原点だ。ここを再度訪れて感じたのはこのような情緒的なつながりだった。それは、女性がディレクターを務めていたり、女性と男性の比率が同等だったりという女性としての視点や感覚が影響しているのかもしれないと感じた。
 
フォローアップシステムとして
 3つめに訪れたのは、ニューメキシコ州Almas de Amistadの通所プログラムだ。アルバカーキの町中、ビルの一角に3つのミーティングルームと2つのスタッフルームとキッチンがあり、とても落ち着いた素敵なインテリアが飾られている。

 対象者は子どもをもつ母親で、登録者は30名前後で、1日の通所者は5〜10名だが全くないという日もあるとのこと。実際に私が訪問した間、全く利用者がいない日や、食料をもらったり、交通機関の無料カードをもらいに立ち寄って、すぐに帰っていく利用者もいた。
 ここへの通所に至る経緯としては、アルコール・薬物関連の問題行動により子どもと一緒に生活を送る為に、治療を命じられた母親が通所を開始する。
 施設運営は、州からの助成金によりまかなわれており、利用者は無料でプログラムを受けることができる。ミーティングも交通機関のカードも食料も無料だが、通所継続の動機付けが大きな課題で、利用者の通所期間は数日から数年と非常に幅が広い。

 通所型の施設では、これまで問題を抱えていた環境の中に住み続けながら、通所をしてくる場合が多く、最初は「薬物をやめたい。子どもを取り戻したい」と決心して通所を開始する母親たちも、薬物やそれを取り巻く問題を日常の中に感じながらの生活の中で、以前の生活に逆戻りしてしまうことが多いという。

 また、ここではAmityの他施設同様のコンセプトを用いて施設運営が行われているが、他施設と異なり通所施設であることの葛藤を抱えている。その点についてスタッフは以下のように説明してくれた。
 「私たちは入所型の施設と同じような方法で運営することができません。通所型では利用者が来たい時にこちらが対応するしかないからです。本当は、もっと入所型の施設のように構造的にしたいけど通所の形では不可能です。だから、私たちは、何人かの先輩利用者が定期的に通所してくるようにサポートします。彼らが新しい利用者にデモンストレートしてくれるのです。」


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