・・続き3

・母親との良い関係
 母親の存在が子どもの回復に大きな影響を与える。母親と子どもが良い関係を持てるかが、子どもの回復の大きな要素になっていることが、多くの調査でわかっている。

・子どもは語ることを求めている
 また、子どもたちは体験を話す機会を必要としている。大人は、子どもは話すことを肯定的に考えていない。忘れさせてあげるほうがいいのではと思っている人が多い。残念なことに忘れられるようなことではない。長い間、子どもの心や体に残る。 2つの大がかりな調査でわかったことは、子どもは話す機会をとても求めていることだった。

 子どもが母親と語ることができるよう、サポートすることが大切だ。子どもたちは暴力について知らなさ過ぎる。しかし、知りすぎるのもよくない。そのバランスが大切だ。子どもはDVを目撃している。何が起こったのか、伝えることが子どもの助けになる。

 また、加害者は暴力は振るっていないと嘘をついて子どもを洗脳する。そのことが語られない秘密になると、恥の意識、重荷を子どもに持たせてしまう。それは大人になっても大きな影響を与える。そのため、子どもに語ってもいいと支援し、子どもが語ることを支える。子どもは語ることを必要としている。

・加害者以外の男性のロールモデル
 暴力を振るわない大人の男性が近くにいることは、子どもにとって良いロールモデルになる。男の子だけでなく、女の子にも必要だ。大人の男の人に暴力はなく扱われるということが身に着く。


・サポートグループ
 誰かに相談できる環境を得らえるようにすることが大切だ。多くの女性たちは自分にとって一番助けになったのは、DV被害を受けた他の女性たちと参加するサポートグループだったと話す。女性たちは、他の女性たちと自分の経験の共通点に驚く。また、他の女性たちと会話していくうちに、経験を整理して、自分はおかしくないと気づく。

・情報提供
 生活に必要な情報を提供する。法的な支援をし、加害者が接近できないようにするためにどうすればいいかなどを伝える。

・女性自身の気づき
 女性は、加害者を第一に考えてきた考えを変えなくてはならない。女性たちに、自分自身の存在が重要で、自分が自分のケアをすることが大切と伝えることが必要だ。加害者は子どもたちに、女性という存在を見下し、否定してきた。子どもたちが新しいことを学ぶために、母親が良いお手本になることが大切だ。自分は価値のある存在と、自分の尊厳を持つことである。

・グリーフケア
 理想としていた関係性を失うことはグリーフ(喪失に伴う深い悲しみ)をもたらす。その深い悲しみを見つめていくことが彼女の回復に必要だ。それは子どもに良い影響をもたらす。母親がグリーケアをしていくことが重要だ。
 加害者が母子関係、きょうだい関係を壊すことが成功せず、信頼関係を維持できた家族がどれだけ多くいることか。しかし、良い結果はニュースにはならない。傷を癒すことはできる、自由を得ることはできる。女性が男性と平等な立場でいることはできるのである。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 バンクロフト氏の講演から、女性や子どもたちにどのような支援が必要か、その真実の言葉から多くの大切なことを学ぶことができた。バンクロフト氏の力強い言葉に、社会に今も根強く残っている女性への偏見を変えていくためには、DVの本質の問題を伝えていくことの重要性を改めて感じた。

 後日、バンクロフト氏の3時間に渡る講演録が作成されるという。読まれたい方は是非、NPO法人レジリエンスのホームページをチェックしてほしい。
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17-Dec.-2010

レポート/オレンジリボンネット管理人
箱崎幸恵


 
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