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・・続き4


 ドリス・メイナードの子どもたちについては、私は第4回目のレポートの中でくわしく描いた。ドリスはDVの被害者である。彼女の病理的なまでの依存的な性格は、人格障害に通じたセラピストが手をほどこしても改善されなかった。ドリスは、次々に暴力的な男性を選ぶようにして関係を持ち、3人の子どもは、親族や里親に保護された。イジーとハンナとマルティーナにはそれぞれ3人の違った父親がいたが、彼らは子育てを放棄し、どこかに姿をくらましてしまった。

 サウスダコタに住むドリスの姉が、いずれは養子縁組をする、という前提で今では子どもたち3人を引き取り育てている。ドリスも、やがては姉と子どもたちの住むサウスダコタの小さな町に移住する予定だ。

 これが3つの家族のそれぞれの”結末“である。児童保護局にとってそれは”結末“であっても、家族たちにとって、それは”はじまり“であるのかもしれない。 

* 「ブラーム和解交渉」については連載第3回目のレポートの中に詳しく説明がある。

* Carter, B., &McGoldrick, M. (Eds.).(1989). The Changing Family Live Cyle: A Framework for Family Therapy
(2nd Edition). MA: Allyn and Bacon 参照

* ホームビルダーズ・プログラム:Intensive Family Preservation Program(IFPS)ともよばれるこの在宅サービスは訓練を受けたセラピストが4週間で28時間の家族との接触時間を持って、子育ての安全確保の成果をあげようとするもの。


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 2009年6月、私は金沢21世紀美術館での講演会のために帰国しました。その講演内容がポッドキャスティングを通じて聴けます。この講演で、私は30年に及ぶ自分のアメリカ生活の中での“子どもたちとの出会い”について話しました。虐待やネグレクトを受けた子どもたちの失うもの、と同時に彼らの強さ(レジリエンス)について、そして、子どもたちにとって親との絆とはなにかについても話しています。どうぞいちど、聴いてみてください。  
http://www.marubiontheradio.com/2009/07/post_34.html

 2010年から、オレンジリボンネットでの新しい連載シリーズが始まります。私の体験や視点からだけではなく、子どもたち、親たち、親族、部族、里親、そして他のソーシャルワーカーやコミュニティーパートナーの直接のインタビューや言葉をそのまま取り入れたレポートを展開して行きます。続けて読んでくだされば光栄です。


(了)
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