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・・続き3

責 任
 キッチンでの仕事はとても重労働だった。1日3回朝・昼・晩に開かれる全体ミーティングの時間は食事の片付けをしていると、いつも遅刻ぎりぎりだった。季節は冬だったが、いつも汗だくで仕事をしていた。

 この重労働の原因の一つには、人手不足があった。食事毎にキッチン・クルーのスチューデントの仕事が分担されているが、その責任を果たすかどうかはスチューデント次第で、そこには絶対的な強制力はない。責任を果たさないスチューデントに対しては、グループの中で話し合いが行われ、仕事がどのような意味を持っているのか、何のために入所しているのかをスチューデント同士で確認し、責任が果たされることを促す。
 
 ある日の昼食後片付けで、キッチンに入ると誰もいないことがあった。
「いつも2〜3人で片付けても時間ぎりぎりになってしまうのに、一人ではとても無理だな」と途方に暮れながらも、一人で片付けをしていると徐々にもやもやしてきた。

 「ここの仕事は誰の責任? 私はただの手伝いなのに・・・。正直者はばかをみるの? 明日は私も休んでしまおうかな」と考えていたら、普段物静かで決して社交的とはいえない男性スチューデントのブライアンがキッチンに入ってきて、「一人なの? 手伝うよ。キッチンはしたことないから、何をしたらいいか教えて」と腕まくりして手伝い始めた。
私はとても感動した。結局二人では片付けきれず、残したままミーティングに参加してしまったが、ミーティング後には他のキッチン・クルーも加わって片付けをした。
 
 責任は誰が有しているのか?
 それは全員だ。共同体の全員が責任を有しているのだ。誰かがその責任を果たせないなら、それができる誰かが補う。そのようにして、共同体は全員で成り立っているのだ。その責任を私も担っていたのだ。

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