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第五回目のテーマは「社会的養護と当事者活動」
児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡井さゆりさんとの対話です。
   

児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡さゆりさんとの対話
- 後 半-
・・続き(前半より)
箱 崎 : 将来どうしたいとか、職員に相談しなかったのですか?
渡 井: しなかったですね。高2の時に、施設長さんに、朝日新聞厚生文化事業団が児童養護施設で暮らす子どもたちを短期で海外研修させてあげようみたいなことがあって募集していたので、「応募しろ」と言われて応募したんですね。そうしたら通って、アメリカに行くことになりました。それが海外に興味を持つきっかけになりました。
箱 崎 : アメリカのどこで研修したのですか?
渡 井: サンフランシスコです。それで、世の中は広いみたいなことを感じるんですけど、私が一番得たことで大きかったのは、13人ぐらいの別の施設の子たちとの出会いでした。いろんな子たちがいるのを知りました。一緒に宿泊することになった女の子が、一晩中、施設の悪口を言うんですよ。何か、「うちの施設では男の子と女の子によって対応が違う」みたいなこととか。別にその子だって好きでずっと悪口を言っているわけじゃないんです。その施設がそうだからそう言うしかなくて……。
私もこの子の施設にもし入所していたら、同じことを言っただろうなって思いまいした。施設によって、ラッキー、アンラッキーみたいなのがあるのは何か不条理だなと思いました。私たちもともと人生のスタートラインで、親は選べない。それは裕福な家庭の子でも、必ずしもそれが幸せというわけでもないので、親を選べないというのはすべての人に言えることなんですけれど。でも、施設に入所する時にその入所した施設で不幸になるみたいなことがあるのはよくないと、高2ぐらいから、そんなことを感じていました。。
箱 崎: 他の施設の子との出会いから、より深く違いについて考えるようになったのですね。
渡 井: はい、高2の冬にアメリカに行っことで、大きく分けると、2つのことを得られました。他の施設を知ったことと、もう一つは、海外の広さです。アメリカでは、病気の子どもたちの施設とかを回らせてもらったりしたんで、漠然と長期で留学しようかなと思ったり。進学校だったんで、みんな大学受験に向けて勉強しているんですけど、私は大学に行く意味ないと思っていました。みんなが大学へ行くからって行くことはないしなあと。でも、アメリカに行ったら、知らないことを知りたいみたいな気持ちになりました。長期の留学をするお金は貯まらなかった時にピースボートを知って、これに乗ろうと決めました。それで「これに乗るね」って職員の人に言ったんです。
箱 崎: 18歳で退所して、すぐにピースボートに乗ったのですか?

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