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第五回目のテーマは「社会的養護と当事者活動」
児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡井さゆりさんとの対話です。
   
・・続き9
箱 崎 : 施設出身者のためのサロンというのは。初めての試みで、まず、やっぱりそういう場所が必要なんだと、実際につくったことは、すごく大きなメッセージになると思いますね。そういう集まるサロンで、最初は施設出身の人たちにということで呼びかけてきたけれども、いろんな人が交流するような場所になってきて、広がりも出てきたのですね。
渡 井: そうですね。
箱 崎 : 当事者と当事者ではない人との関わりについて、悩まれたこともあったようですね?
渡 井: はい。当事者と当事者ない人の住み分けというか、今はだいぶなくなってきていますが、最初はありました。
夕食前に今日あった出来事などを談笑
分かち合うサロン
箱 崎: 日向ぼっこのサロンとしては一日、どのように時間が流れていますか?
渡 井: 日によるんですけど、たとえば今日は午前中、「こもれび」という千葉県で当事者活動をしている佐野優さんが高卒資格認定試験の勉強をしに来ました。私がそのサポートをしているんです。他の人では、高校受験のサポートもさせてもらっています。サロンの開館時間の前はそういう個別にニーズがある人の家に行ったり、一緒に役所に行って手続きや申請をしたりしています。それから、職員の方の研修でお話しさせてもらうこともあります。午後4時ぐらいから人が見えて仕事の面接の話をしたり、近況報告をしたり……。家族がいてそれが当たり前にできると、あんまりそのありがたみを感じないかもしれないですけど、一人で生きていくのって難しいと思うんですね。分かち合う人がいて、それで自分の存在価値が感じられる。
箱 崎: 誰か一緒にいるという時間、大切ですね。
渡 井: はい。私が10代後半から20代前半にしんどかったのは、生きていくことを全部一人でやっていかなきゃいけないと思っていたからなんです。人の迷惑にならないようにと思ったり、孤独でした。目標を持って何かを目指した時に、それを応援してくれる人もサポートしてくれる人もいなかった。家族がいなかったり、いてもそういう関係ではなかったら、家族以外に、そういう存在がいてくれると心強いと思うんです。
箱 崎: 誰にでも自分を応援してくれる存在は必要ですね。
渡 井: はい。分かち合える人との関係性はつくれると思えばできると思うんです。だから、いろんな方がここに来て、みなさん口々に近況を話しくれるんだと思います。

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