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          | 箱 崎: | 人に対して、ずっと不信感があったのが、信じられる人ができたことで、他の人も信じていいんだという気持ちになったのでしょうか? | 
         
          | 渡 井: | たぶん100%信頼っていうのは、どの方も難しいと思うんですけど。随分、信頼できるようになったと思います。あとは、前ほど裏切られた時のダメージみたいなものをあまり気にしなくなってきました。 | 
         
          | 箱 崎: | そういうことがあったとしても? | 
         
          | 渡 井: | 今のところ幸い「日向ぼっこ」も安定して運営できるようになりつつあるんです。でも、そんな時こそ不安もあって……。血縁関係があると、おじいちゃんとかおばあちゃんとか、そういうつながりというのを知っていると、何となく自分の大事さってわかるかも知れないけれど、私にはそういう関わりはなくて、おばあちゃんと関わる時があったとしても、私はあなたにとって無害ですよ、お金を無心したりとかしませんよっていうような、感じで関わっていたんです。おばあちゃんがいてくれて今の自分があるみたいな感じを受けなかったんです。 でも、さっきお伝えした作家の小説の中からそういう家族とのつながりを感じるようになって、それで改めて自分の、育て直しというか、そういう面での生きることの大切さを感じるようになりました。今までは相談して下さる人に対しても、家族のことで落ち込められていいなという羨ましさを感じることがあったんです。親をいまだに思って苦しんでいる方に対しても。私はそうは思わないので、そう思えるのが人間らしく感じられて、いいなあって思っていたんですけど。何となく、それが、いいなあじゃなくて、人ってそういうものなんだよなって感じられるようになったんです。
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          | 箱 崎: | それも、大きな気づきですね。 | 
         
          | 渡 井: | はい。 | 
         
          |  インタビュー中の渡井さゆりさん
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