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第五回目のテーマは「社会的養護と当事者活動」
児童養護施設での生活体験者で、当事者活動をしている渡井さゆりさんとの対話です。
   
・・続き8
箱 崎 : 日向ぼっこが広く知られるきっかけになったのはいつですか?
渡 井: 勉強会を活発に重ねていく中で、3年前の子ども虐待防止の鎮魂集会で、厚労省の大臣だった柳沢さんからの電報を読ませていただく役割をいただいて、「東洋大学の廣瀬(旧姓)さゆり」って紹介される予定だったのですが、「日向ぼっこという当事者団体をやっている者というふうに紹介してください」ってお伝えしたんです。そうしたら、その場にいた読売新聞の記者の方が「日向ぼっこ」のことを取材して下さいました。その前にも毎日新聞の記者の方が気にかけていただいて、それで毎日新聞と読売新聞に記事が載って、たくさんの方に知っていただくきっかけとなりました。
3年経って感じること
箱 崎 : 3年やってきて、いかがですか?今どんな場所になっていますか?
渡 井: 大きく分けると勉強会の時期から居場所の提供ができるようになりました。サロンがゆっくりしていただける場所になっているみたいです。本当は、「日向ぼっこ」がなくても社会の中で孤立感を感じないで生きていければ一番いいだろうなとは思っていて、こういう場所がなくてもいいような社会になったらいいよねという気持ちではあるんです。でも、今は社会的養護に限らないで、マイノリティーの当事者の方が集まれる場所って必要だなっていうのを感じていて、だから、サロンがあって良かったって思ってくれる人たちのお役に立てているというか、支えになれていたらすごく嬉しいですね。
箱 崎: それは、最初は勉強会から居場所としてのサロンが定着してきたのですね。
渡 井: そうですね。居場所を持ちたいねっていう話は、勉強会を始めて3カ月後には話をしていたんですね。それで、場所が持てることになって、現状も知っていく勉強会というのを重ねていたんです。サロンを始める前に、座談会をやって、サロンの練習みたいなことをして。
箱 崎: 孤独感みたいなのを癒す場所っていうのが、テーマだったんですか?
渡 井: それだけじゃなくて、人によってはそういうのを埋めたい人もいるし、人によっては差別を感じていて、それで、それをなくしたいっていう人もいるし、いろんな人のニーズに合うような「日向ぼっこ」でありたいのは、始めた時も今も変わりはないですね。ただ単に家庭がない方が御飯を食べに来る程度でもいいですし。
箱 崎: 日向ぼっこは、施設出身の方のサロンということが前提ですよね?
渡 井: もちろん当事者の方が前提です。ここは施設や里親家庭で、社会的養護のもとで暮らしていた方々の場所なんだということを理解していただけたら、施設出身者ではない方々でも、来ていただきたいです。ここに来られる方はいろんな方がいらっしゃって、ご自身も育ちに引っかかりを感じていらっしゃる方だったり、ご家族を亡くされている方だったり、性同一性障害の方とか、統合失調症の方とか、元ホームレスの方とか、いろんな方が見えて、いろんな関わり方を持たれています。

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